【天才のルーティンとは?】『天才たちの日課』メイリン・カリー著

近年、YouTubeなどを見ると「〇〇のルーティン」といった、いわゆるルーティン動画というものが流行っているように見受けられます。

私も、芸能人や著名人、あるいは私と同じような会社員が毎日をどのように過ごしているのか気になり、そのような動画を視聴して、単調な毎日を乗り切る際のモチベーションにしています。

そんな中今回は、歴史上の天才たちのルーティンをまとめた『天才たちの日課』という本を読みましたので、紹介していきたいと思います。(存命の方も含みます。)

天才たちの何気ない一日が分かり面白く読むことができました。

まずは、本の中で個人的に印象に残った人のルーティン(日課)を取り上げていきたいと思います。

ウィリアム・ジェイムズ(心理学者)

この本のタイトルにふさわしいようにジェイムズは、心理学者として「規則正しい生活習慣」を研究テーマの一つとし、日常のこまごまとした事柄を努力せずに無意識に行えるようになれば、頭脳に余裕ができ、より高いレベルの仕事ができるようになると指摘しています。

そんな彼自身の習慣を見ると、

ルーティン
飲酒は控えめで夕食前にカクテルを飲んだ。30代半ばでタバコとコーヒーを断った。就寝前目が疲れていなければ23時~24時ごろまで読書をした。また彼の研究テーマに矛盾するが、彼自身は朝の時間をできる限り無意識に浪費している。昼の形式論理学の授業の準備をすることだけなのにそれがいやだからだ。と自身で述べているように、やらなければならないことを、ぐずぐずとのばす性格だった。

規則正しい生活習慣について彼が上の立場から述べているというよりは、彼自身が規則正しい生活習慣を目指していたということになります。

本書で取り上げられている人の生活習慣をみると朝型で朝に仕事をし、午後は散歩や趣味などに時間を使う人が多く紹介されています。脳科学において朝起きてからの3時間はゴールデンタイムとして創造的な仕事に向いているとされていますが、効率の良い時間の使い方を知ってか知らずか、本書では朝起きてすぐに仕事をする人が多いという印象を受けました。

ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(作曲家)

ルーティン
夜明けに起きてすぐに仕事を始める。朝食は、コーヒーのみで一杯につき豆60粒。一粒ずつ数えることもよくあった。仕事は14時~15時ごろまで行った。休憩に散歩に出かけた。昼は、しっかり食事をとり長い散歩に出かける。散歩が作曲の役にたったといい、いつも鉛筆1本と五線紙2、3枚をポケットに入れて持ち歩き浮かんできた楽譜を書きつける。夜は居酒屋で新聞を読んだり、友人と過ごしたり、劇場へ行くこともあった。冬は家で読書。夕食は簡単なもので、食事をしながらワインを楽しみ、夜は音楽の仕事はせず22時には就寝。

村上春樹(小説家)

ルーティン
長編小説を書いている時は午前4時に起き、5~6時間仕事をする。午後は、ランニングや水泳をして(あるいは両方する)雑用を片付け、読書をして音楽をきき、9時に就寝する。
以前は、一日に煙草を60本も吸っていたようだが、作家として座って仕事をしていると体重ばかり増えていくことに気づき、煙草をやめ、酒の量を減らし、野菜と魚中心の生活にした。

芸術家は自由奔放なイメージがありましたが、本書では規則正しい生活の中で創造的な仕事をしている人も取り上げられており、定職に就いてその傍ら執筆業を行った人もいました。私も定職に就いている者として以下の人たちのルーティンは非常にモチベーションになりました。

アンソニー・トロロープ(小説家)

ルーティン
トロロープは、郵政省の役人として働きながら執筆を行った。その方法は毎朝5時半に机に向かい3時間途切れることなく執筆をし、それを毎日行うというものだった。それを10ヶ月間続けると1年で三巻シリーズの小説が三作できる。
そのために下男の年間5ポンド余分に支払い毎朝起こしてもらい、(この下男も自分に厳しい男で毎朝遅れることなく朝のコーヒーを持ってきてくれた。)意識的に訓練をして三時間の間途切れることなく執筆ができるようにした。

ニコルソン・ベイカー(小説家)

ルーティン
ベイカーは、処女作を執筆中さまざまな事務の仕事に就き当時は昼休みに書くのが日課でこの時間に小説のためのメモを取っていた。
また、通勤に90分かかるようになると小さなカセットレコーダーを買い運転しながら文章を口述し録音した。
その後の何作かは定職に就かずに執筆が続いたが、執筆を先延ばしにし、スケジュールが遅れることもあったため再び定職に就き午前4時半に起きて執筆するようにした。

その他にも、詩人のウォレス・スティーヴンズは、損害保険会社で弁護士として働きながら詩を書き、定職に就きながら仕事をするメリットについて、定職に就くことで生活に秩序や規律がもたらされる。自分の望む自由もあるし、金の心配もないとしています。

以上から、それぞれの性格や定職の内容にも関係するかと思いますが、定職と創造的な仕事の両立もルーティン化によって上手く回れば、成功につながるということがわかります。

この他にも、もちろん夜型の人もいれば、作家・哲学者のヴォルテールのようにベッドの中で仕事をしたりと変わった仕事の仕方をする人もおり、それぞれのルーティンがあることが本書を通してわかりました。

本書は、一人ずつ短文で書かれておりスキマ時間や何かの休憩などに気軽に読むことができますので、ルーティン系が好きな人も、忙しい人も楽しく読むことができるはずです。

ぜひ読んでみてください。